嘘と演技
「そうよさくらさん。あなたはお父さんの奴隷じゃないのよ。あなたはあなたの意思で生きる権利があるのよ」
「私もう父の言いなりになるの辞める」
私も、
「そうだ。さくらさん」
由美も
「そうよ。さくらちゃん」
「おめでとうさくらさん」
野副さんがそう言うとさくらさんは野副さんの身体にしがみつきワンワン泣いた。
そして泣き疲れた様に、また甘えるように子供のような声で、
「先生」
そう言った。野副さんも子供を受け入れるように、
「何?さくらさん」
そう優しく答えた。
「先生」
「さくらさん」
「先生」
「さくらさん」
さくらさんが子供返りした様だった。私と由美は顔を見合わせお互いはにかんだ。
私の野副さんの耳元で
「社長室のデータの件は…」
そう言うと、
「明日にしましょ。今日はこのまま気持ちよく寝かせてあげましょ」
そう言ったのでその晩さくらさんを泊まらせようとした。
松井が「テレビつけていいか」
そう言ってテレビをつけた。そして松井が、
「まずい…もうニュースになっている。さくらさんが逃げたこと。それを助けたものとしていずれ足がつく。ここにいるのはまずい」
「どこかホテルにでも移るか…」
「都内だと目立つ。横浜でも、少し離れよう」
私達はタクシー2台に別れ静岡に向かった。そして熱海ニューホテルと言うホテルに私とさくらさんはマスクを着け受付を済ませ、中に入った。