嘘と演技
「そう。由美の仕事にもかかわっているTEPのロシア参入に関する…あまり大きな声では話せないんだ。そうだ!この後先程の女子高生のあやめさんと会う。彼女にすべてを聞いてくれ。ホテルの中で何かふしだらな事が一つでもあったか?もし彼女に訊いてある様なら俺を煮るなり焼くなり何でもしろ」
由美はじっーと私の眼を見ている。疑いの眼と信頼の眼の天秤が揺れる。信頼の方に傾いた。
「分かったわ。信じる。考えてみればあんな若い可愛い子があなたの様なおっさん相手にする訳ないわね」
「ありがとう。信頼してくれて。何はともあれ」
「で何?急ぎなの?」
由美が訪ねた。
「そう急ぎなんだ。事情はタクシーの中でこっそり話す。これから段取りをする。まず原宿に行ってかつらを買ってあと、髪切りばさみも買う」
「よく何が何だか分からないけど話は聞くし、協力もするわ。本条親子の殺人の問題なのね?」
「ああ。またTEPの問題でもある」
私達はまず原宿にタクシーで行ってかつらを探した。
「これ位の大きさかな。あやめさんがいた方がよかったかな」
次に髪切りばさみを買った。
「少しでも早く切れるハサミを下さい」
そしれ由美と一緒に留置所に向かった。