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嘘と演技

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「俺達が決定的な証拠のCD―ROMを持っていたことも誰かに知られているかもしれない。俺の家の前で誰か張り込みをしているかもしれない」
「そうですね。私跡ををつけられてたのかな?」
「あやめさんは大丈夫だと思うけど、俺は確実にマークされているな…ところで提案だが次の裁判までの段取りを俺の家以外の場所でやらないか?カラオケボックスじゃ目立つか。そうだホテルに行って話そう。誰からも聞かれない場所だ。心配しなくていい。おじさんは変な真似しない」
「分かりました。私の方こそ話があるのです。絶対聞かれたくない話。今日裁判が終わると思って言う必要がないと思っていましたが、実は私まだ結城さんに話していないことがあります。その話をホテルの中でします」
「分かった」
 私はタクシーを止め二人で乗った。
「赤坂の辺り」
 そう言って、しばらくした後、
「そこを右に曲がってくれ」
「また右に」
「また右に」
「お客さん戻ってますよ。ブロックを一周しちゃいます」
「構わない。またそこを右に曲がってスピードを上げて走ってくれ」
 タクシーの運転手は言われた通り走った。
“どうやら後をつけているものはいないらしいな”
 赤坂に着いた。
「そこのホテルの駐車場まで入ってくれ。駐車料金もこっちが払う」
「分かりました」
 ホテルの一室に入り、あやめさんはテーブルのわきの椅子に座り、私はベッドの上に座った。
「CD―ROMさえあれば、でも松井が後を追っているがCD―ROMがない前提での裁判を考えなければならない」
「一つだけ方法があります」
 あやめさんが言った。
「方法?どんな?」
「その前に結城さんに言ってなかった事とクリスマスの24日の事について話したいと思います」
「そう言えばさくらさんクリスマスにTEPの事でロシアに行くとG―girlとして」
「そうです。本来ならばさくらさんの母真由美さんが殺されず、さくらさんが留置所に入らなければ、さくらさんは24日の夜までにロシアに旅立たなければなりませんでした。
「ロシアに行くのは無理になったな」
「行けばいいのです」
「でもさくらさんは留置所にいる。ロシアには行けない」
「さくらさんを留置所から出してロシアに行ってもらうんです。そうしてロシアでのホテルでの話を録音するのです」
「そんな危険な真似は、だいたいさくらさんは精神状態が穏やかでない」
「私がロシアに行きます」
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一