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嘘と演技

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「今から3か月前私はそのセキュリティーの責任の所在に疑いをもって、もぐり込んだのです。その会社を」
「それで!?」
「当然高校生の様な子供が来るところじゃないと追い出されました。ただそのあと私はそのセキュリティーの中で廃棄処分を取り扱っているところにあるCD―ROMを見つけたのです。たくさんあったから全部リュックに詰めて持ち帰りました。
「ひょっとしてその中に…」
「そうです。十数枚のいくつかはただ本条家の普段の様子が映っているだけでしたが、一枚だけ画像がなく音声だけがかなり質の悪い形で残っていました。
 あやめさんはCD―ROMを取り出した。
「これ再生していいですか?」
「ああ。分かった。貸してくれ」
 私はDVDプレーヤーに挿入し、それを再生した。
“あなた……シアに行ったんじ…ゃ”
「真由美さんの声だ」私は言った。
“………ールを見て…つけた”
「これはまぎれもなく本条則明の声。やはり日本に…」
“………いたわよ。さくらから……なた。なん……する……信じら…い……娘を……んだと思っ……の”
“急ぐんだ。……ら、この事は……っててくれ。誰にも言わ…でくれ”
“いいえ。そうは……せません。私は母…やとして娘を……る義務があり……す”
“…察に言うつもりか…うなったら俺も終わりだ。さくらを説得…る………放せ…ら…はな……んだ”
“絶対さくら…指一本ふれ……せません”
“お父さ…お母さん。何して…キャア”
“ガッ”
「真由美さんがやられた」
“お母さん…お母さん…死んでる…お父さんお母さんを殺…なんて…ひ…いひどすぎる…お母さ…ドタッ”
「さくらさんも倒れた。さくらさんもやられたのか?」
“おいさくら…くら…気絶し……のか…」
「本条則明の声だ。さくらさんはただ気絶しているだけだ」
“…………………………………………”
 しばらく沈黙が続いた。
“お母さ……お母さん”
「さくらさんが目を覚ましたのか?」
“おいさくら…んだ。寝ぼけている…か”
“お母さ………さん……お父さ…お母さ…を殺さないで…お父……”
 その時私達は確かに聞いた。すべての真実の謎を…
“さくらよく聞くんだ”
「本条則明の声だ」
“お前は精神障害…だ。だから気が狂って…る。この後警察が来…もただ気が狂った真似をしろ。そして言うんだ。母親を殺したのは…自分だ。さくらが私…殺した。…しが犯人ですと」
「寝ぼけているさくらさんに話しかけている」
 私は言った。
“お前が精…ん障がい者であれ…刑が軽く…る。だからいいか…狂った…をするんだ。そして自ぶ…がやったと”
「刷り込み!寝ぼけているさくらさんに刷り込みをしたんだ」
 私とあやめさんは目を合わせた。
「これが真実です」
 あやめさんが言った。私も、
「すべての辻褄が合った。さくらさんが狂った真似をするのも他人にだが性的虐待についても、小田急線の中で真由美さんと交わした会話の意味も」
「そうですね」
「裁判で証拠物件として提示したい。このCD―ROM貸してくれないか?」
「もちろん、そのつもりです。さくらさんの無実を立証してください。さくらさんが2度と性的虐待で苦しまないようにしてください。このままだとまたさくらさんは自分の身体を売る羽目になります」
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一