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嘘と演技

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 私は次の日の朝出勤し、小さな訴訟を取り扱った仕事をし、昼ご飯を食べていた。由美からメールがあった。私はそれに対して、
“今電話していいのか”と返した。“いいよ”と由美は打った。
「本条則明の件だが…」
「何か分かった?」
 由美は食いつく様に聞いてきた。
「いやまだこれからなんだがとりあえず探偵の松井という奴に依頼した。本条則明について調べてくれ。あとG―girlについてもそう頼んだ」
「ありがとう。今TEPのことで外交関係者の中でもピリピリしているの。本条則明も出席する。G―girlがそこに出席するかもしれない。だから本当助かるわ。何でもいいから情報を得たいの。仕事って憂鬱ね。気晴らしがしたいわ。また食事でもする?ああそうしようか。昨日は気落ちしていたんだが今日は幾分平静を取り戻したんだ」
「気落ちした?」
「ああ。例の殺人の件さくらさんが犯人で間違いない様だ。立件もこのまま続いている。裁判はないかもしれない」
「そうさくらさんが犯人。私はそう考えたくないけど。それは確かなのね」
「うん。残念ながら…」
 その日は仕事をやっつけ仕事の様にこなし、そして酒を買い込んで家に帰った。俺は結局出世できない弁護士なんだな。ここ3か月以上収入があまりない“
 刺身を並べ缶ビールを開け晩酌をして寝た。
 あの箱根の帰りの小田急線での二人のやり取り。あの時あの親子の愛を確かに感じた。、
―――お母さん。本当ごめんなさい―――
―――うん。さくら、疲れたのよ、きっと―――
―――ありがとう―――
―――うん―――
―――お母さん―――
―――さくら―――
―――お母さん―――
―――さくら、ねえ、顔をよく見せて―――
―――可愛い、さくら、私の宝物―――
―――ふふ、お母さん、大好き―――


―――なあ、神様、あれが愛じゃないとしたら、一体なんて言うんだよぉ―――

作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一