嘘と演技
どっと疲れを感じながら、二人で電車に揺られた。霧島も私も無言だった。
“こういう結末か…”
私はその晩、一連の情報を探偵の松井に電話で伝えた。
「予想内の範疇でしたね。では私には調べるものが何もない。これで契約は終わりでよろしいでしょうか?」
「そうだな。真実が分かったのだし…一回食事でも…」
「何も気を遣ってくれなくていいのです。お互い忙しいのだから」
「そうか」
「私はお金さえ振り込んでもらえばそれで結構です」
「じゃあせめて挨拶がしたい。お金は銀行振り込みでなく、直接手渡しする」
「まあ私はどちらでも」
「じゃあ日にちは…12月中旬ごろでいいか?」
「分かりました。12月になったらまた詳しく教えてください」
「うん」
「他に何か?」
「他?」
「何かまだ調べ足りないものとか?」
「調べ足りないもの?まあそうだな。私の事じゃないが、私の彼女の業務に関する事なんだが、調べてもらっていいか?」
「どんなことです?」
「本条則明という男の情報を調べてくれ。あとG―girlという女が何者なのか。引き受けてくれるか?世界の条約の決定などを裏で操つる黒幕らしい」
「もちろん引き受けます。これはサービスで引き受けましょう」
「いいのか?」
「まあ。あなたが気落ちしているようですし」
「分かった。ありがとう。では12月に」
「では」
私はその晩、疲労感と無念の気持ちを引きずったまま、ベッドにもぐり込んだ。
子供だったら泣いていたところだ。