嘘と演技
次の日の朝起きると、由美からメールが届いていた。
“野副結季花さんの事で話がしたい。仕事も彼女の名前を出したら、話を聞いてこい、出勤しなくていいと言ってきた。今からそっち行っていい?”
私は、
“いいよ。霧島もいていいかな?”と返したら、
“いいよ”と返ってきた。
私は急いでごちゃごちゃになっている部屋を片付けようとしたが、とても短時間で片付かなかった。どうやら大掃除が必要のようだ。
しばらくして霧島が私の家に来た。
「おはようございます」
「おはよう」
霧島が部屋の中に入り、私は彼にコーヒーを出した。
「すいません」
私達は座り霧島は、
「野副さん消えましたねえ」
「ああ。急にな。由美が彼女の事で話があるという。何故由美は野副さんの名前を知っているんだ?」
「さあ、由美さん。外務省事務官ですよね。外務省とカウンセラー?何も関係はなさそうですが…」
「だよなあ」
しばらくして由美が来た。
「おまたせ。ごめんね。忙しいところ」
「いや俺達も由美から話を聞きたいと思っていたところなんだ」
「そう。じゃあ良かった。私も忙しいのよ。今月中に、沖縄のサトウキビ農園の人からアンケート調査を100件以上集めて、北海道の酪農農家からも100件以上アンケート調査を集めなければいけないの。つまり、日本の農家の為にね。農林水産省のデータが正確かを確かめる為にも」
「そんな仕事までするのか」
「まあね。私は主に雑用よ。あまり特務なんかは頼まれないわ。いつも面倒くさい事ばかり」
「とにかく話を進めよう野副結季花さんの事でお互いが知っている事を情報交換しよう」
「その情報交換の事だけど、私達は安易に外交の情報を漏らしてはいけないの。上司からも何も話さず、上手く聞いてこいとだけ言われているわ」
「そうか。じゃあしょうがないな。外交、防衛などは当然そうだろう。うん。分かった」
「でも…でももしあなた達が私の話を誰にも話さないと約束してくれるのなら。ここで話した事実を一切口外しないと言ってくれるのなら。私話すわ」
「本当か?霧島誰にも言わない。約束できるか?」
「もちろん」
「そういう事だ由美話してくれ」
「うん。あなた達を信じるわ。ではまず私がカンボジアに行った理由、これは前洋平にも言った通り雑用だからこの情報が世間に広まっても、大した問題ではないんだけど、職務上、秘密にしなくてはいけないの。どうでもいい事でも」
由美は真剣な表情でそう言った。