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嘘と演技

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「東京英和と彼の関係は証拠こそつかめないものの、かなり怪しいですね。現に東京英和が学校の修繕に予期せぬハプニングが重なり、金に困っていた。彼はその出費に支給できる権利はないが、区や東京都に申請を行いに行っている。しかし責任の所在が八木校長にあったため、どこからも断られた。しかしどういう訳か東京英和はその赤字になるはずの状況から建設会社にきっちりお金を払っている。その頃本条さくらが転校しているので、その以前に彼らは本条父と会っている事になる」
「ではかなりの確率で裏金はあったと?」
「しかし証拠がない。その上校長はその金をどこかの金融機関から、例えば銀行から、合法的なやり方でお金を借りたかもしれない。そしてその後、少しづつ返済しているかもしれない」
「じゃあ、結局分からず仕舞いか…」
「それよりも驚いた事がある。本条則明の本職です」
「なんなんだ?」
 私は食いついた。
「どこかで彼の名前を聞いた事がある、以前からずっと思っていたんですよね。彼の本職は外務省の内閣総理大臣補佐官だったんです」
「えっ?彼が?」
「いやあ、それを知った時はびっくりしましたね。あの事件の後よくマスコミが当然報道するだろう所を、本条則明をおおやけにしない様にできた。かなりの力です。彼一人の力でなく、本条則明は実に多くの人間を味方につけている。現にマスコミはこの事件は取り扱ったが、本条則明の名前は一切出さなかった」
「内閣総理大臣からの援護があった?」
「その線も本当にあり得るから驚きました。それ位の力でもなければ、あの報道は抑えれれませんよ。何か国益に関わる重要人物だ。確証もしないのに悪い報道をされたら困るだろう。そんな事を首相が言ったのかもしれない。調べてみると彼にはかなりのキャリアを持っている。外交官。総理大臣補佐官にしては、出来すぎている様な。これは私の勘ですがね。彼の功績、これはとても一人では行えないものだと思うんですよ。彼にはバックがいる。強力なバックが彼についている。その黒幕がキーになっている様な」
 松井が言った後、私は、
「俺達はすごいもの達を相手にしているのかもしれない。ところでこの間さくらさんが性的虐待を受けているかもしれない事についてちょっと触れたが、松井さんはそれについてどう考えていますか?」
 私の問いに松井は難しそうな顔をして座席にもたれかかった。
「虐待ねえー。うーん」
 私達はその松井が作った間をじっと待った。
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一