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嘘と演技

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 次の日私は松井に本条則明の本職は何か、東京英和と本条則明の間に金が動いてないか調べてもらった。
 
その週は普段行われる相談やら業者間のトラブルの弁護で仕事に追われ、そして一週間後私と霧島と野副さんはまたあの台湾料理屋フォルモサで松井と会った。松井はまた助手の郡山を連れていた。
松井は会うなり、
「久しぶりです。結城さん。どうされましたか?何か大きな情報でも入ったんですか?」
 私は、
「まあ。これから話せば分かります。紹介します。こちらが本庄さくらさんの、専任のカウンセラー野副結季花さんです。まあ重要参考人でしょう」
「いえ。私は何もお力添えには。私はただ聴いているだけ位しかできそうにもないので。私は何も」
 野副さんがそう言ったのに対し、松井は、
「まあ。謙虚な姿勢はいいでしょう。日本人の美徳だ。日本は外国のマナーを学ぶ前に、自分たち自身の日本の美徳を追求しなくてはいけない」
 そう松井が言ったのに対し、霧島は、
「さすが東大首席で卒業された方、いろいろな事に見識がある」
 松井はいつになく動揺ともとれた表情になり、すぐにまた冷静さを取り戻し、
「私のキャリアを見たのですね。キャリアはあくまでも過去だ。東大主席にもいろいろな人がいる。今は私自身がブランド。東大なんて関係ない。どういうキャリアを閲覧されたか知らないが、他人がまとめたもの。私には関係ありませんよ」
 松井は少し不機嫌そうにそう言ったが、
「それより本題に入りましょう」
 そう松井はまた明るく言った。
「結城さん。あなたは一週間前に私に本条則明さんの本職と彼が東京英和で裏でつながっているか調べてほしいと言いましたね。ついでに性的虐待が行われているかもしれない可能性についても少し触れていました」
「はい。何か分かったのでしょうか?」
 私は丁寧にそう聞いた。
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一