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嘘と演技

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「そうなんだ。それを裏付ける要素はいくらでもある。性的虐待を受けた人の傾向である自傷行為。不安感、低い自己評価、人から注目されるためや人を引き付ける為に、複数の人とセックスする。俺はこの複数の人という事で、彼女の挑発的な行為を今日打ち明ける決意をした」
「あの晩さくらさんの母真由美さんが殺されたのも真由美さんが父とさくらさんの間のその秘密を知ってしまったから。それを知られた父、本条則明は真由美さんを殺した」
「私が小田急線で真由美さん親子の間でなされた―――
―――そもそも違うのよ。私の場合―――
―――治らないわよ。ずっとこの先私の若いうちは治らないわよ―――
―――抗うつ剤飲んでもちっとも良くならないわよ。効くわけないでしょ―――
の言葉の意味も分かってくる」
「なるほど、さくらさんはこの性的虐待を辞めない限りいくら治療しても治るわけがない。そう言いたかったんだ」
「ああ。そうだと思う」
「いや。本当にその線だといろいろな事がはっきりしてきますね」
「ああ。この間会った東京英和の校長もその事実を知っている。そう思わないか?」
「あの校長。いろいろ話して教頭に電話だと止められた。ですよね。そうですよ」
 私は言った。
「校長はこうも言った。私はいつも正義の為に何かできるかを考えていると。偉業という言葉も使った。偉業を成す事について誰か、答えを知っているものがいれば、私に教えてほしい。私はどうすればいいと」
 霧島も
「それはつまり校長は虐待の事実を知っていたが同時に彼の父が偉業を成し得ているという事実も知っていた。これを内密にしていいものなのか、どうなのか」
 私は、
「普通だったら内密にしない。聖職である限り子供の人権を守るさ。しかしもし裏で金が動いているとすれば…」
「校長は本条則明から献金をもらっている!」霧島は端緒についたようにそう言った。
「そう。俺もそう思うんだ。明日探偵の松井に本条則明の本職は何か?性的虐待は行われていたか?東京英和と本条則明の間に裏金が流れていないか探ってもらうよう頼んでみる。一週間探ってもらえば何か分かるだろう」
「そうですね」
「それとスクールカウンセラーの野副結李花さんとも再度連絡を取ってみる。明日にでも。もしかしたらさくらさんが父との関係を野副結李花さんに打ち明けているかもしれない。女性同士だしな。虐待を受けているものはその虐待を隠す。彼女の錯乱状態の演技もそんなところからきているのかもしれない」
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一