嘘と演技
「ねえ、それは私が病気だから。精神障碍者だから?」
「いや。そう言う訳じゃないが…」
「じゃあ抱いて。精神障碍者の私の体を味わって、一緒に気持ちいいことしましょ」
「いやほんとさくらさん。そんなことできない。早く服を着てくれ」
そうは言ったものの、私はもう彼女のむき出しの体に完全に心を奪われていた。
「女ってね…」
彼女は自分のペースでただ話していた。
「女って強姦とか、愛していない男からせがまれると、たまらなく嫌なの。絶対無理って」
彼女はそう言って露わになった姿のまま話し続けた。
「でもね。そんな相手でもある時もう観念すると、その人を受け入れるの。それでその人がどんな人かという事より、今からその人は痛くしないでしてくれるか、優しくしてくれるか、そっちの方が大事になってしまうの」
「観念?さくらさんあなたは以前強姦の様なものを味わってきた。そうじゃないか?」
私の問いに
「それを調べるのもあなたの仕事でしょ?無能な弁護士さん」
そう言って彼女は小悪魔の様に笑った。
その時ドアがコンコンと鳴った。ドア越しに守衛の声で「もうそろそろ時間だ」
そう聞こえた。
さくらさんが「今終わったとこ」
そう答えて、
「じゃあ私、この姿のまま出てくわね」
「ちょっと止めてくれ。服を着てくれ。何をしたのかと思われる。お願いだ。早く」
「冗談よ」
そう言って彼女はまた笑った。