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嘘と演技

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「時間がないから単刀直入に言う。君が容疑者なら君の弁護をさせてくれ。でももし君が無実を立証できる確かな証言さえすれば、こんな面倒くさい事をしなくても、すべてが片付く筈だ。言いたいことがあるなら腹に溜め込まないで、はっきり言ってくれ。それが君の為にもなる筈だ」
「まず弁護の事から言いますが、私の弁護を引き受けてくれるのね。こちらからも宜しくお願いします」
 彼女はそう丁寧にお辞儀をした。そしてその後こう言った。
「ただ。無実の証言は私にはできない」
 そう言った。
「何故?」
「何故って弁護も何も母を殺したのは私なんですもの」
「そう言っている限り、裁判では勝てないぞ。分かっているのか」
「弁護とか裁判とかお堅いのね」
 彼女はそう言って、座っている私の前に来た。右手を私の手の上に、彼女の手を重ねて、
「お仕事お疲れじゃない?」
 そう言って流し目で私の方を見た。
「何が言いたいんだ」
 私が言うと、
「ここにいるのはあなたと私だけ」
 彼女は彼女特有のゆっくりとした口調でそう言った。
「暑いわ」
 そう言って彼女はTシャツに手をかけた。
「おい、ちょっと…」
 彼女は私の言葉に構わず、Tシャツを脱ぎ、半ズボンとブラジャー姿になった。長い長髪がさらっと揺れる。
「おい。君がどういう事を考えているか分からないが、そんな事をしなくても俺は君の為に最善を尽くす、無意味な事は止めてくれ。それとも俺をからかっているのか?」
「無意味な事?」
 彼女はゆっくりとした色気のある声でそう言った。
「意味はあるわ。私にもあなたにも。ねえ。今気持ち良くならない?」
 半ズボンから見える生足を組み直して、さらに私に近づいてピッタリとくっつく様にになった。わたしはついついさくらさんの生足を見てしまった。
「さくらさん駄目だよ」
 そうは言っても私はすぐ横にいるブラジャー姿のさくらさんのふくよかな胸を見て、欲情せずにはいられなかった。
「ねえ。弁護士さん」
「なんだ」
「弁護士なんだから私の話を聞いてくれるでしょう?」
「………」
 私は黙って彼女が話し続けるのを待った。
「私達、つまり私とあやめが何でいつも制服を着るか分かる?」
 私はその時初めて彼女らがいつも制服を着ている理由が分かった。
「そう、私達15,6の頃から発育が良かったから、私服を着て街に出るといつもチラチラ見られるの。アダルトビデオの勧誘も受けた事があるわ」
 私は彼女が本当の事を話しているだろうと思いそのまま聞き続けた。
「だから普段はいつも制服を着ている。私が二十歳でも」
 彼女の顔を見るとピンク色の口紅を塗った柔らかそうな唇が私の心を射止めるように光った。
「でもたまに私服を着てみたい気分になるのよね。今もそんな気分。冒険したい気分」
 そう言って彼女は立ち上がり今度は半ズボンに手をかけた。
「おいちょっと、さくらさん。止めてくれ」
 彼女は一向に辞める様子もなく、半ズボンを脱いで、ブラジャーとパンティー姿になって、
「ねえ、私の事抱けない?」
 そう聞いてきたので、
「少なくとも今は抱けない」
 私はそう言った。
作品名:嘘と演技 作家名:松橋健一