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蒼き旗に誓うは我が運命

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 ジョアン二世の許可は、三日経っても降りなかった。
 元々、ソルヴェールは国王の許可など必要しなかった。ジェフリーは半分はイベリア人の血を引いているが、エルドアンもマックスも他のサン・ディスカバリー号乗組員もイベリア国民ではない。それそれ故国を捨て、海で生きる事を選んだ十六名である。確かに、イベリアに依頼されて海賊討伐を行い、商船の護衛もしたが海に出る際は国王を通してはいない。ジェフリーが、筆頭公爵家当主なのが問題なのである。
 「…大丈夫でしょうか?エルドアン副長」
 「何がです?カイン」
 「海に出られないんですよ?」
 「そうなりますねぇ。でも、大丈夫ですよ」
 何が大丈夫なのか、さっぱり理解らないカインである。しかしこれで、理解った事が字エフリーにはある。今回だけ国王に許可を求めた理由、ある男を引っ張り出す為だが当の本人は気づいていないだろう。
 ジェフリーを、海に行かせたくない人間がいるのだ。彼が公爵と云うのではなく、当然こちらを心配しているのでもない。こんな事が出来るのは、一人しかいない。
 (さぁ、次はどうする?オルレアン公)
 水平線を見つめながら、ジェフリーは不敵に嗤った。
 そのディ・オルレアン公爵は、一人の海軍提督を王宮に呼んでいた。
 「それならば、プリウスがよいかと。公爵殿下」
 「プリウス?」
 「我々の間で、牢獄と呼んでおります」
 「ほぅ…」
 オルレアン公爵は、ニヤッと嗤った。
 彼が何を企んだのか、それは数日後サン・ディスカバリー号に届いた。 
 「キャプテン…」
 オルレアン公爵の挑戦に、ジェフリーは余裕の笑みで嗤っていた。