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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第十八話

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「野口さん、手前の角でいいわ。そこから歩くから。ありがとう送ってくれて」

「そう、連絡待っているよ。登志子に会ったら、今日の事話すのか?」

「登志子に?話さないわよ。あなたに会ったとまでは話したけど、こうして二人で会ったことは内緒よ。もちろん誰にも内緒」

「貴子さん」

野口は手を握ってきた。私はちょっとだけ握り返した。
それは次に会う時は男と女よ、と言うサインでもあった。

車から降りた私は振り返りながら野口に手を振った。
誰かが見ていたらどうなるか考えもせずにだ。
家までの道は足取りが重い。気持ちを切り替えて作り笑顔で中に入る。

「ただいま~遅くなってごめんなさい」

「貴子か?楽しかったかい?」

「ええ、いつものことだから楽しかったわよ。ご飯作るから待っててね」

「外に行こうか?今日は子供たちも家で食べないと言ってたし」

「ううん、自分が外出して来て外で済ませるなんて嫌なの。作るからテレビでも観てて」

「そうかい。じゃあそうするよ」

内心もう出かけたくないと思っていた。家庭の中で見る夫は家族だし信頼できる。会話も無いわけじゃないし、長い人生を共にしてきたパートナーとして情もある。
疲れているからと外食に誘ってくれた気持ちは嬉しかった。でもそれに甘えることは野口と会ってきた自分には許されることではないと言い聞かせていた。

その夜夫は求めてきた。必ず外出して帰って来た時には求めてくる。
なにかをチェックしているのだろうか、いつもより体を眺めている。そんな態度の夫に初めて気づいた。今までは感じなかったことだった。
そして中に来て、あっという間に終わった。指でなじられ多少の息づかいは荒くなっても、終わりは来なかった。