「幸せの交換」 第十八話
時間はあっという間に過ぎて夕方になっていた。
「貴子さん、家まで送るよ。おれ車で来ているから」
「そう?ありがとう。反対方向じゃないの?」
「構わないさ。最後の時まで一緒に居たいって思うから」
「嬉しいこと言うのね。また会えばいいじゃない、イヤ?」
何ということを口走ったのだろうか・・・
「ほんと?絶対に時間合わせるから知らせて。今日会って良かった」
「うん、すぐには無理だけど必ず連絡するから」
わたしを乗せた野口の車は自宅方面へと向かう。途中大阪では有名なラブホテル街の傍を通過した。ちらっと横目で私は見てこんなにたくさんひしめき合っているんだ、と感じた。
野口も私が見ていたことに気付いたのだろう。話しかけた。
「ここは有名だよね。時々仕事で来るけど、昼間から結構出入りしているよ。それも我々ぐらいの世代の人たちが目立つ」
「そうなの・・・」
「貴子さんは独身の時に来たことはないの?」
「独身の時に?・・・夫と一度だけ来たことがあるわ」
「そう、直樹とか。一度おれもゆっくりと会いたいとは思っているよ。本当なら登志子と四人で会えたらよかったんだけど。今は叶わない」
「そうね、四人でね・・・昔はよく遊びに行ったわよね。思い出すわ」
「ああ、遠い事のように記憶から消えているけど。こうして貴子さんと会えたことは神のお導きかな?」
「神様のお導き、そうね、そうかも知れない」
何がそうかも知れないと感じたのであろう。身体の芯で野口を見ている自分とは違うもう一人の女が居た。
「貴子さん、家まで送るよ。おれ車で来ているから」
「そう?ありがとう。反対方向じゃないの?」
「構わないさ。最後の時まで一緒に居たいって思うから」
「嬉しいこと言うのね。また会えばいいじゃない、イヤ?」
何ということを口走ったのだろうか・・・
「ほんと?絶対に時間合わせるから知らせて。今日会って良かった」
「うん、すぐには無理だけど必ず連絡するから」
わたしを乗せた野口の車は自宅方面へと向かう。途中大阪では有名なラブホテル街の傍を通過した。ちらっと横目で私は見てこんなにたくさんひしめき合っているんだ、と感じた。
野口も私が見ていたことに気付いたのだろう。話しかけた。
「ここは有名だよね。時々仕事で来るけど、昼間から結構出入りしているよ。それも我々ぐらいの世代の人たちが目立つ」
「そうなの・・・」
「貴子さんは独身の時に来たことはないの?」
「独身の時に?・・・夫と一度だけ来たことがあるわ」
「そう、直樹とか。一度おれもゆっくりと会いたいとは思っているよ。本当なら登志子と四人で会えたらよかったんだけど。今は叶わない」
「そうね、四人でね・・・昔はよく遊びに行ったわよね。思い出すわ」
「ああ、遠い事のように記憶から消えているけど。こうして貴子さんと会えたことは神のお導きかな?」
「神様のお導き、そうね、そうかも知れない」
何がそうかも知れないと感じたのであろう。身体の芯で野口を見ている自分とは違うもう一人の女が居た。
作品名:「幸せの交換」 第十八話 作家名:てっしゅう