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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第十七話

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野口が私を求めては来ないだろうと言う気持ちになっていることは確かだ。私も強く野口を求めることはないだろうということも会おうとした決心につながっている。
普段の時より地味な服装で出かけた。夫を安心させるということもあったが、野口を変に刺激させてもいけないとの思いもあった。

そのようなことを考えている時点で普通に友達として会うのだということとは違っていた。
制服ではない野口はスーツを着てホテルのロビーにいた。
手を振って私は近づいた。

「お待たせしてごめんね。スーツ姿が素敵だわ。見直したわ」

「そう、今日は来てくれてありがとう」

「約束だもの、来るわよ。レストランに行こう」

「そうだな。予約入れておいたよ」

「ほんと?サンキュー・・・気が利くのね」

「貴子のためだから」

「そんなにお口が上手だったかしら」

「酷いなあ~素直になってくれよな」

「嬉しいわ。ねえ?聞いて欲しい話って何?」

「うん、登志子がどう話したのか知らないけど、離婚した最大の理由はボクの自己破産でもなく、両親のお節介でもなく、あいつ自身の問題だったんだよ。それなりに仕事見つけて働いてはいたけど、以前のような収入じゃないし、共稼ぎもさせていたから辛い思いをしたことは解るんだ。毎晩お酒を飲んでいたのも会話が無くなって寂しい気持ちを紛らわせるものだった」