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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 6.

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十一月二日の朝を鹿児島駅で迎えた裕美子は、駅前からバスに乗って出水の町に向かった。修善寺とは趣が違うのどかな田舎の光景に、ここが特攻基地であることが嘘のように感じられた。
バス停で降りて近くの食堂で朝ご飯を食べたいと探していると、通りがかりの老婆が声をかけてくれた。

「どこに行きなさるのかのう?」

「はい、お腹が空きましたので朝ご飯をと思いましたが、食堂はありますでしょうか?」

「ご飯かえ、ここら辺は基地があるでたくさんあるけど、今はやってないな。わしんとこにきんしゃい。漬物だけで良ければ食べて行きなされ」

「ご親切に感謝します」

「その子がお腹減らしてかわいそうと思ったからじゃ。遠慮せんでもええ」

裕美子は親切心に甘えて老婆の後ろについて少し山道を歩いた。

「ここじゃ、誰も居りはせんで遠慮しなさんな」

「はい、美幸ご挨拶をしなさい」

頭をぺこりと下げて、

「ありがとうございます」

そう言った。

「ほうほう、ようしつけが出来とるね。おりこうじゃ。上がって座ってなさい。ご飯持ってくるよって」

「お嬢ちゃんは何歳だね?」

「二つと六つ」

指を立てて美幸は見せた。

「二歳半か・・・可愛い時じゃな。孫が生きておれば同じような年回りじゃ」

老婆の悲しい顔に裕美子は聞くことをはばかられたが、勇気を出して尋ねた。