「幸せの交換」 第十五話
わたしに軽い嫉妬心が芽生えていたのだろうか、いつもより激しく夫は求めてきた。それはそれで期待したけど、することはいつもと同じで一瞬で終わり、指で刺激するパターンで終わった。
「ねえ?どうしたの。激しくなんかして」
「どうって、おれ以外の男と仲良くしてきたって思ったらいらいらした」
「バカね、仕事先の人だよ。付き合いでお酒飲んだだけなのに」
「そういうことから、遊びを覚えるって言うことだよ。もう行かないでくれ。仕事ではないから断れるだろう?」
「あなたがそういうなら断るけど、何も心配することなんかないのに・・・」
「お前が普通の女だったらそう思わないけど、世間から見たら流行りの美魔女なんだから心配してるんだよ」
「嬉しいこと言ってくれるけど、五十女なのよ。あなたが思っているほどちやほやされることなんて無いの。もう言わないで」
「ああ、それならいいんだけど」
夫が本気で心配しているのか、ただ束縛したいのかは判らなかった。
大切にされることは嬉しい。束縛も愛情表現だから嬉しい。嫉妬も好きの裏返しだから嬉しい。
しかし、何かが物足りないと考える自分が居た。それはもうあることでしか解決できないとどんどん思えるのだ。
作品名:「幸せの交換」 第十五話 作家名:てっしゅう