「幸せの交換」 第十五話
頑張ると宣言した割には相変わらず同じようなことを続けるセックスでは自分はもう満足できなくなってきた。素直に感じる優しさだけではこの気持ちを抑え続けることは出来ないともう一度夫に言うべきか、我慢すべきか、それとも・・・
勤め出して一月ほど経ったある日、会社に宅配便の荷物が届けられた。それは課長宛ての個人的なものだったので、受付から今居るフロアーに届けられた。
「毎度ありがとうございます。お荷物お届けに参りました」
そう言った声は聞き覚えがあった。遠い記憶ではあったが確かだった。
振り向いて、顔を見た。
「野口さん!」
「はい、そうですが・・・えっ?貴子さんですか、ひょっとして?」
「そうよ、兵藤です。お久しぶり。登志子からは聞いていたけど、この近くでお仕事されていたの?」
「この辺りは実家の傍なんですよ。ちょっと訳ありで最近担当になりました」
「そう、じゃあ頑張ってください。私も働き始めたばかりなの」
「また、配達の時に顔が覗けるから、楽しみにが出来て良かった」
「そうね」
野口は帰って行った。
作品名:「幸せの交換」 第十五話 作家名:てっしゅう