からっ風と、繭の郷の子守唄 第6話~第10話
からっ風と、繭の郷の子守唄(7)
「ヘルメットに仕込まれたインカムと、もと最強の暴走族」
「耳が壊れるかと思ったぜ・・・・こいつは、店長の悪戯だな。
オーディオ機器に手を加えて、インカムをヘルメットに組み入れたんだな。
少し待て。音量を調節するあら。
どうだ。このくらいなら。会話が聴きやすくなっただろう。
それにしても、お前
耳元で爆発した、絹を裂くようなあの甲高い奇声は、一体何だ。
お前さんのすさまじい絶叫のせいで、俺の心臓が停りそうになったぞ。
危ないところで、命拾いした・・・・」
「それは、わたしのセリフです。
初めて聞く男の悲鳴で、耳の鼓膜が破れるかと本気で思ったもの。
それにしてもヘルメットをかぶったまま会話できるなんて、便利ですねぇ。
何がどうなっているのかしら・・・・」
「最近のビッグスクーターには、4輪車なみの居住性が求められている。
オーディオはもちろん、ナビや、液晶テレビまで組み込まれている
車種まで有る。
新しい物が大好きな、店長のことだ。
あちこち細工して、前と後ろで会話が出来るシステムを仕上げたんだろう」
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第6話~第10話 作家名:落合順平