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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 4.

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「裕美子さん、こんな小さい子供連れて鹿児島まで行くなんて無理よ。可哀想だから考え直して」

「もう時間が無いんです。詳しくは言えませんが来年には大変なことになるんです」

「大変なことって何よ。それ次第では支援するけど」

「夫は海軍航空隊です。昭和二十年春には特攻隊員として鹿児島から飛び立ってしまうんです。その前に何とか引き止めて美幸を母子家庭にしたくないんです」

「特攻隊員?なにそれ」

「飛行機ごと敵艦船に体当たりして破壊する作戦です」

「何という恐ろしいことを・・・日本はそんなことまでしてこの戦争を続けるの?」

「東京、名古屋、大阪など大都市は今後アメリカ軍による大空襲をうけます。本土決戦を阻止するために前線基地となる沖縄は絶対に死守ために体当たり攻撃を正当化します」

「本土決戦を避けるため・・・アメリカの爆撃機の基地に沖縄が成らないように、何としてもやっつけろと言う作戦なのね。そんなことでアメリカ軍が全滅するのか疑わしいわ」

「女将さん、議論していても元には戻りません。お願いがあります。米内様にわたくしたちが出水基地に辿り着けるよう、切符の購入を認めて戴けるようにお願い出来ないでしょうか?」