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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 4.

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海軍の大西龍治郎海軍中将は空母が失われて、護衛艦船も失っていた状況を踏まえ、航空機戦力活用のために、敵空母部隊の飛行甲板を一時的にでも喪失させる目的で、特攻作戦を発案した。
大西は生還を全く見込めない戦法を自ら「外道の統率」であると認識していたが、アメリカ機動部隊の航空戦力を一時的に作戦行動不能にして、戦艦大和率いる栗田艦隊のレイテ(フィリピン、レイテ島)突入を支援するためには有効な戦法と判断し、命じた。

出水海軍航空隊はこの年の三月十五日に国分分遣隊を設置し、同年八月十五日に国分分遣隊が独立し、国分海軍航空隊が開隊した。
国分海軍航空隊に所属していた幸一は、海軍の特攻作戦を司令官から聞いて、愕然とした。
日本海軍はまだ戦艦大和など主要艦は残されているはずだ。なぜ、特攻などという捨て身の作戦が必要なのか理解できなかった。そこには実際の戦況報告が伝わって来ていないという事実があったのだ。

同僚の下士官たちとも話し合った。上官に意見することなど出来ないから我々だけで覚悟を決めておこうと最終的には決意をしていた。

裕美子は美幸がしっかりと歩けるようになっていたので、女将に断って鹿児島の出水に行くと伝えた。夫を励まそうと考えていたのだ。もう残された時間は少なくなっている。