からっ風と、繭の郷の子守唄 1話~5話
からっ風と、繭の郷の子守唄(2)
「暴れ坂東と、広瀬川の関係」
前橋市の中心部を南北に走る弁天通り商店街から、横に入る
小さな露地道が有る。
仕事を終えた人たちが家路を急ぐころ。
小さな露地道に、ポツリポツリと赤提灯の明かりがともる。
40メートル足らずの露地道に、肩を寄せ合うようにして呑み屋が並んでいる。
呑竜(どんりゅう)と呼ばれている、呑んべェたちの横丁だ。
人々は古い慣習のまま、この場所を『呑竜マーケット』と呼んでいる。
入居しているのは、スナックや居酒屋などの飲食店ばかり。
すべての店が、薄い壁1枚で仕切られている。
1店舗あたりの面積は、13~16平方メートル余り(5坪~6坪)
という狭さ。
カラオケ目当ての客たちが、今日も狭いカウンターで肩を寄せ合い、
一生懸命、マイクを握って離さない。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 1話~5話 作家名:落合順平