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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 3.

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「女将さんに話そうか迷いましたが、言うことではないと思い控えておりました。申し訳ありません」

「そんな気遣いはしなくていいのよ。こんな時代だからみんな精一杯に生きている。私も悲しみに心沈み込ませている時間はない。気持ちをしっかりと持って今を生きないと旦那様に叱られるわ」

「お強いのですね。私は夫が戦死したら自分がどうなるのか考えたら怖いです。美幸のことも心配だけど、女将さんのような強い気持ちになれるのか疑問です」

「何言ってるのよ。子供はあなたの命よ。あなたが生きると言うことが美幸ちゃんの命を守ると言うことなのよ。しっかりなさいね」

「はい、山本様の生前の好意を無駄にしないように生きようと思います」

「そうよ。あなたには美幸ちゃんが居るじゃない・・・」

そこまで話すと女将の信子はその場に泣き崩れた。
美幸がその声を聴いて傍に近寄り、同じように泣き出した。
強く美幸を抱きしめ女将は自分の悲しみをこの子に与えてはならないと涙をこらえていた。