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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 3.

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「何をいまさら愚痴を言うの。美幸ちゃんの将来はあなたが背負っているのよ。自分で何もかも頑張ると決心できないと生きて行けないよ」

女将の言葉は十分わかっていた裕美子ではあったが、自分の中の未来でおばあちゃんが話してくれた、「私の父は特攻隊で戦死した」という言葉が真実味を帯びてきたことを憂慮していた。どうにかして幸一が生き延びる決心をしてくれないかと悩み始めてもいた。

夫の幸一はこの年、昭和十八年四月十五日に開隊を迎える、鹿児島県出水海軍航空隊に居た。
零戦の操縦士を訓練する任務を与えられていたが、自らも編隊飛行の訓練では先頭に立って飛び、そして後方から編隊操縦に関しての指示を与えて激しい訓練を課していた。
そんな中、山本五十六の訃報が米内を通じて女将の元に伝えられた。

「裕美子さん!大変よ・・・」

「女将さん、どうなされましたか?」

「兄から連絡が来て・・・旦那様が・・・戦死された」

「何ということ・・・ラバウルから視察の途中に乗っていた飛行機が撃墜されたのですね」

「あなた何故それを知っているの?」

裕美子は映画で観たとは言えなかった。いつものように夢で見たと話した。