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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 3.

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四月十八日午前六時、山本を含めた連合艦隊司令部は第七〇五航空隊の一式陸上攻撃機二機に分乗してラバウル基地を発進した。山本は一号機、宇垣(宇垣纒=うがきまとめ、海軍参謀長)は二号機に搭乗する。零式艦上戦闘機六機に護衛されブイン基地へ移動中、ブーゲンビル島(パプアニューギニア、ブインはアラワと並んで中心地の名前。日本海軍の基地があった)上空で、アメリカ陸軍航空隊P-38ライトニング十六機に襲撃・撃墜され戦死した。この事件は後に海軍甲事件と呼称された。

山本を乗せた一式陸上攻撃機はエンジンをやられて火を噴きながら墜落した。山本は墜落の衝撃で内臓破裂と全身打撲で翌十九日未明まで息があったが、捜索隊が到着した時には絶命していた。
未明まで生きていた五十六は傍に居た軍医に介錯を銃でしてもらい自害したとも言われている。それは敵機から放たれた銃弾とは違った銃創が見られたからだ。介錯をした軍医も後を追っていた。
山本の遺体はブイン基地で火葬され基地滑走路の脇に埋葬された。分骨されて持ち帰られた遺骨は東京府中の多磨霊園に埋葬されている。米内が墓石の文字を書いた。

昭和天皇の国民を国葬にするのか?という言葉を退けて、六月五日日比谷公園で大々的に「英雄」山本五十六の国葬は行われた。

前月五月二十九日にアッツ島の玉砕が報じられて、その戦死が顕彰された。
「欲しがりません勝つまでは」から「国家のために命をささげる」ことが日本人に求められるようなムードが次第に支配するようになってゆく。