「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 3.
「女将さん、この頃あの標語がすべての慎ましい日常でも贅沢と言われているようで良い感じがしません」
「裕美子さん、そのようなことを言ってはいけませんよ。壁に耳あり障子に目ありです。警察とは違う人たちが見回りして不心得者を引っ張って行くらしいから、おとなしくしていないとこの子が不憫な思いをしますよ」
「はい、特高ですね・・・嫌な時代になったものです」
「戦争は首相がラジオで言うように勝っているのかしらね。あなたは勘がいいからよく知っているんじゃないの?」
「ええ、この前に来られた山本様のご様子から、日本は言われているような勝利を続けているとは思えません。これだけ節約させて、また尚お寺の鐘とか鍋釜まで提供しろとすることは資源が足らないと言うことですから、アメリカの圧倒的な工業力と物資の豊かさを比較すると勝負は決まっていると感じます」
「そんなことを・・・幸一さんに話してはいけませんよ。あの方は純粋な方だし今は日本国に必要な士官なのですから」
「女将さん、だから・・・嫌だと思ったのです。こういう時代になってゆくから・・・」
「裕美子さん、そのようなことを言ってはいけませんよ。壁に耳あり障子に目ありです。警察とは違う人たちが見回りして不心得者を引っ張って行くらしいから、おとなしくしていないとこの子が不憫な思いをしますよ」
「はい、特高ですね・・・嫌な時代になったものです」
「戦争は首相がラジオで言うように勝っているのかしらね。あなたは勘がいいからよく知っているんじゃないの?」
「ええ、この前に来られた山本様のご様子から、日本は言われているような勝利を続けているとは思えません。これだけ節約させて、また尚お寺の鐘とか鍋釜まで提供しろとすることは資源が足らないと言うことですから、アメリカの圧倒的な工業力と物資の豊かさを比較すると勝負は決まっていると感じます」
「そんなことを・・・幸一さんに話してはいけませんよ。あの方は純粋な方だし今は日本国に必要な士官なのですから」
「女将さん、だから・・・嫌だと思ったのです。こういう時代になってゆくから・・・」
作品名:「もう一つの戦争」 敗北と幸一の運命 3. 作家名:てっしゅう