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ヴァリング軍第11小隊の軌跡(仮)

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 外はまだほんの少し薄暗い、しかし確かに日が上がってきている気配を感じた。
 樹音は全身でこの国を感じた。
 歴史という目に見えないけととにかく重い何か。
 それが今、確かに樹音の全身に溶け込むように支配していく。



 …聴こえる。
 誰かが泣いてる。大きな何かが苦しくもがき足掻き泣いている。そしてこっちに向かって来ている。記憶が流れ込んできた。その記憶には捕らえられた一人の男性が台の上に縛られて意識のない状況の中、右脳に何かを植え付けられていた。そして人を動物を残虐に殺していく。そんな記憶だ。
 樹音は知っている。
 自分には何も出来ない事を。
 歴史を受け継いだといっても曲をトランペットで吹く事しか出来ない。戦闘になれば足手まといになるのは百も承知だ。
 もうすぐで巨大な何かが樹音の元に辿り着く。
 私の力《音》じゃ助けられないかもしれない。
 でも自分は今一人ではない。
 他にも四人の受験者達がいる。
 さまざまな記憶が樹音の中に新情報として追加されていく。
 そして巨大な何かが樹音の元に辿り着いた時、それは巨大では無くなっていた。