ヴァリング軍第11小隊の軌跡(仮)
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樹音は、自身のトランペットを取った。
そして中央の位置につくとアメイジング・グレイスを吹いた。すると壁に記された金色に光る音符の数々が浮かび上がり順番に樹音の頭に身体に全身に入ってきた。
樹音は一種の気持ちよさを感じた。
自分の全身が満ちたように感じたのだ。
そして今まで何の反応もなかったこの遺跡がガタリ、ガタリと変化を始めた。遺跡はまるで樹音を押し上げるようにゴゴゴゴゴゴゴと上がっていき、そして空が見えた。
ようやく樹音は外へ出たのだった。
作品名:ヴァリング軍第11小隊の軌跡(仮) 作家名:鳶織市