連載小説「六連星(むつらぼし)」第96話 最終回
連載小説「六連星(むつらぼし)」最終回
「大人たちが見つめる、六連星の意味」
「さぁて。響も無事に出発したことだし、後は俺たち大人の時間だ。
なんというか、実に凄いものを目撃した気分がする・・・・
政府と野田総理に言いたいことは山ほどあるが、それはまた
別の機会に譲ろう。
とりあえずいまは、響が無事に若狭へ着くことを祈ろうぜ」
官邸前の6車線の道路を離れ、霞ヶ関方面に向かって100mほど歩くと
都会はもう、全く別の表情を見せる。
官邸前を埋め尽くした熱気も、雑踏も、此処には見当たらない。
スーツ姿のサラリーマンと、勤めを終えたOLばかりがやたらと目につく、
風景に変わってしまう。
「つい目と鼻の先に、原発に反対する大群衆どもが居る。
ところが100mも離れると、霞ヶ関の働き蜂が、普段通り闊歩している。
田舎者には、とうてい信じられない光景だ。
さてと・・・・俺たちが乗ってきた車は、若い連中に貸してしまったから、
ここからは、めいめいの足で家路を急ぐ事になる。
で、そこで相談が有る。
お前さんたちには申しわけないが、久し振りの花のお江戸だ。
ちょいとコレに連絡を入れたら、今からでも遊びにおいでと誘われた。
そう言う訳だ。
俺はここで失礼するが、あとは二人で、勝手にしっぽり濡れてくれ。
じゃあな、トシ。清子もまた逢おうぜ。あばよ」
作品名:連載小説「六連星(むつらぼし)」第96話 最終回 作家名:落合順平