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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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みずみまきのおもいで

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 明は彼女の体の毛が少しずつ短くなっているように感じた。でもそれは気のせいかもしれないとも思った。
 ある日
「東京の人は大変だね。水が無くて」
と彼女に言うと
「いいんじゃない。優しさが無いんだから」
と言った。
そうかも知れない。自分の生活。人のことまで思いやってくれる人は稀だ。こんな時は金持ちは生き延びられる。貧乏人は水を買うこともできない。
「水が飲みたくても飲めない人がいたらまきさんはどうする」
「助ける」.
「そうだよね助けるよね」
 翌日彼女は明に
「お世話になりました。お礼もできずに済みません」
と言って家を出た。
 その日群馬県では大雨が降り八木沢ダムなどは満水になった。東京の水不足は解消された。
 そしてその満水の湖面に長い髪の毛の大きな猿のようなものが浮いていた。