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連載小説「六連星(むつらぼし)」第91話~95話

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連載小説「六連星(むつらぼし)」第92話 
 「金曜日は、紫陽花(あじさい)革命」

 金曜日の夜に集結する総理官邸前の抗議行動は、いつの頃からか、
『紫陽花革命』と呼ばれるようになった。
6月を象徴する花といえば、紫陽花だ。

 「紫陽花(あじさい)革命」は、小さな花びらがたくさん寄り集まり、
大きく咲きほこる紫陽花の花のイメージから、命名された。
『国民一人一人に国を動かす力はなくても、問題意識を持った大勢の人が
集まり、政府に意見をぶつけることが出来れば、国の方向性を変えることが
できる』という呼びかけの趣旨と、ピタリと合致している。
抗議行動のきっかけは、一人の青年がツイッタ―へ投稿した一文から
生まれている。


 野田政権は2012年。あらたに原子力規制庁を設立した。
福島第一原発の教訓を踏まえ、原子力発電を規制するかのように演出する。
だが実際には逆だ。数日のしないうちに、原発擁護の姿勢を打つ出す。
大飯原発のストレステストの2次評価も待たず、強引すぎる姿勢を保ったまま
原発再稼働の道を突き進みはじめる。



 例えば、夏場に電力が15%近く不足するとした試算を楯にとる。
関西電力と関西の経済界が、大飯原発の再稼働のための世論作りのために、
まずは、原発の『必要悪』の大合唱を巻き起こす。
反対姿勢を見せていたはずの橋本大阪市長まで、再稼働容認を表明する。