連載小説「六連星(むつらぼし)」第91話~95話
連載小説「六連星(むつらぼし)」第94話
「25回目のバースディ」
「便利な機械だな、おい。
どこにいても瞬時に、必要な情報が受け取れるわけか。脅威だな・・・・
へぇえ・・・・恐れ入ったねぇ。携帯電話の進歩には。
俺たちは、まるで、時代に遅れた浦島太郎だな」
「脅威なのは、今日の抗議行動です。
4万人を越えると予測されていましたが、さらに増えていきそうな勢いです。
はい。これが本日の、それを証明する画像です」
インテリの青年が、スマートフォンの画像を岡本へ見せる。
映っているのは、上空から見た官邸前を走る6車線の道路の様子だ。
抗議に立ちあがった大群衆の様子を、見事にとらえている。
手作りと思われるたくさんのプラカードとのぼりが、あちこちで
ひるがえっている。
官邸前は、身動きの余地の無い。
「官邸前は、すさまじい密集だ。
6車線の道路がまるで、即席の広場のようになっている。
この大群衆の中のどこかに、俺たちも紛れ込んでいるはずだ。
しかし、どうなってんだ。このリアルな映像は・・・・」
作品名:連載小説「六連星(むつらぼし)」第91話~95話 作家名:落合順平