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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 開戦と子育て 2

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「そうだったな。すまん。おい!少尉、裕美子さんと話をさせてくれ。いいだろう?」

少尉とは磯村幸一のことだ。

「はい、閣下、呼んでまいります」

「おい、さっき言っただろう。公務じゃなく無礼講だと。閣下はやめておけ」

「ではなんとお呼びすれば?」

「名前で構わぬ」

「米内どの?で良いのですか?」

「ああ」

仮にも米内は海軍大将である。そしてこの後、終戦前に東條英機に代わって海軍大臣となって陸軍出身で朝鮮総督の小磯国昭を首相として二人で内閣を支えてゆく。
裕美子は米内のことはあまり知らない。父親が話してくれていた首相は戦後の人ばかりだったからである。

「裕美子です。夫がいつもお世話になっております。不束者で言葉遣いとかお話しする内容でお怒りを感じさせることがありましたらお叱り下さい」

「うん、五十六が言っておったように少し普通と違う雰囲気があるな。悪い意味ではなく良い意味でだ。少尉はこのような美人を妻にして幸せだな。ところで父親が議員だったと聞いておるが、何か変わったことを聞いてはいないのか?」

「あまり政治向きの話はしませんでしたし、女の私には話しても無駄だと思っていたのかも知れません」