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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 開戦と子育て 1

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「お母様、わたくしは都会に近いここより伊豆の田舎の方が安心できると思います。山本様が勧めて下さったことには理由があるんだと思います。仰らないけど、近々戦争が、大きな戦争が始まるんだと言うことなんじゃないでしょうか?幸一さんは知っておられても極秘事項でしょうから答えられないと思います。」

「裕美子さんはどうしてそんなことが言えるの?何を知っていると言うの?」

母親は息子の顔をじっと見てそう尋ねた。

「すみません。わたくしの想像で話しました。誰からか聞いたとかいうことではないので気に障られたらお許しください」

「幸一、あなたはどう思うの、今の裕美子さんの言葉は?」

聞かれたら困ると思いながら磯村は返事をせざるを得なくなっていた。

「母さん、裕美子の想像は当たらずとも遠からずだよ。司令官の胸には何かの思いがあって僕たちにそうしろと話されたのかも知れない。それを探るより、今は従って行動したほうが良いと思える。単純にあちらの方が暮らしやすいよ。ここら辺や都内はもう昔のように自由に動き回れる場所じゃなくなってゆくらしいからね」

「幸一、裕美子さん、あなたたちがそういうなら反対してもダメよね。老いては子に従えとは先人の言葉。夫も賛成すると思うから任せるわ」