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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 開戦と子育て 1

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当然ながら、配給は米だけにとどまらず酒も25歳以上男子に三か月一人月四合平均、夏季期間はビールを40日間で家庭毎に8本ずつという厳しいものとなった。
味噌や醤油、木炭や食用油も制限され、衣類も点数制度になり、与えられた切符の分だけ購入できる(年間100点支給で背広が50点といったように)制約を受けていた。
この時代商売などもう出来ないようになってゆくのだった。

磯村幸一の実家は神奈川県大磯市にあった。裕美子はそこで暮らすつもりだったが、戦争が始まると大都市周辺部は制約がきつくなり、万が一の事態にも対応しきれないことが懸念されることから、修善寺の女将のところへ移ってはどうかと仲人役の五十六に言われて、家族会議が行われていた。

「母さん、司令官から勧めて戴いたお話はどうですか?おれにはいい話だと思うし、あちらはここよりは食べ物とかの供給も満足できると思うので暮らしやすいと思うよ。それに子供が出来たら、裕美子も安心できる環境だし考えてくれないか?」

「幸一、私たちは長くここに住んでいて、お墓もあるのよ。すぐにと言われても、決心がつかないわ。それに国内が戦争になることは無いわけだから、疎開しなくてもいいんじゃないの?」

裕美子は口を挟むことに遠慮していたが、母親から意見を求められたので答えた。