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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「妖刀正宗の復習」 第四話

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美術館に持ち込まれた正宗は無造作に汚い箱から出されて、ガラス越しの展示ルームに置かれた。鑑定をした大学教授はこの小刀が鎌倉時代に作られた本物の正宗であると太鼓判を押した。国宝指定に出来るほどの一振りだったのだ。

小刀は鞘から抜かれることなく鞘に納められた状態で展示されていた。
見事なまでの刀身は入場者には見ることが出来なかった。当然見せて欲しいとの苦情が美術館に寄せられて、検討の結果翌月初めから抜き身で展示されることに決まった。
老人は展示場所の注意書きに、翌月より抜き身の展示をすると言う添え書きを読んで執拗に館長へ抗議した。
その内容は、呪われているので鞘から抜いてはいけないという一笑に付されるような抗議内容だった。

もちろん門前払いで二度と立ち寄ることが許されない法的処置が老人になされた。

「バカな老人には付き合っていられないよ。何が呪われた小刀なんだよ。笑わせるんじゃない。そうだろう?」

都庁の窓口で抗議の相手をした担当者が美術部員にそう話していた。

「全くですね。江戸時代じゃあるまいし、そのような戯言を真面目に信じているということがおかしいですよ」

二人の役人の会話は普通にすれば当たり前で、老人の訴えのほうが狂っているとしか思えないであろう。
しかし、事態は老人の心配していたことが発生する。