「幸せの交換」 第三話
「確かにおれはマイペースなところがあるけど、嫌だったら話してくれれば変えてゆくし、何も我慢して耐えきれなくなったから別れるって言わなくてもいいのにと思っちゃうよ」
「登志子は私と違って積極的だから自分のやりたいように考えてしまうところはあるよ。あなたに合わせると言うことは無理に感じたのね」
「おれには忙しくて会う時間が無いと話していたのに、野口とは会ってた。それも許せないよね?まずおれと別れてから奴と付き合うことが順番だよ。貴子さんだってそう思うだろう?」
「それはそうよね。登志子は遊ぶ子じゃないと思っていたけど、社会人になって変わってしまったのかな」
「大人になるといろんなこと経験するから、男の見方も変わるかもしれないね。外見でカッコいいと思って始める恋愛から中身のほうが大切と感じて始めるように変わる。おれは初めて貴子さんを見たときに自分の理想の女だと思った。でも登志子さんと付き合っていたからダブルで付き合いたいと考えてはいけないと我慢してきた。
なのに登志子さんは野口と付き合ってホテルまで行った。なんか屈辱的だったよ。終わったことをくよくよ言うのは男らしくないけどね」
「そんな!信じられない。登志子がそんなことするだなんて」
「聞いてみろよ。おれの言ったことが本当だったら、なあ、付き合ってくれよ」
「私が直樹さんと付き合う?」
作品名:「幸せの交換」 第三話 作家名:てっしゅう