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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第二話

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「何を言ってるんだよ。その通りのことを言っただけだよ。変に気を回すなよ」

「ならいいけど。貴子は真面目だから本当に好きにならないと友達感覚では付き合えないと言ってたから、野口さんのことは好みじゃないっていうことだったのよね」

「男は顔じゃないと思うけど。あいつは金持ちだし良いと思うんだよな」

「そんなこと言って、あなたも結構お金持ちなんじゃないの?高そうな服いつも着ているし」

「バレた?ハハハ~家は親がサラリーマンだから、あいつのところのように実業家じゃない。それなりだと思うけどおれはバイトで服は買っている」

「そうなの。私のところも事業やっているけど儲からないんだよね。野口さんのところにあやかりたいぐらい。変な意味にとらないでよ」

「ああ、そうだな。同じ商売人として考えちゃうよな」

こんなやり取りがあって、やがて登志子はなんとなく忙しさを理由に兵藤直樹との交際も間が空くようになっていた。
そんな時に偶然に出会った野口と話すようになって、彼が大変な資産家だと言うことも解った。
そこに惹かれたわけではなかったが、何度となく会ううちに登志子は誘われるままにホテルに行った。

兵藤との交際で登志子は一つ不満があった。それはセックスである。
たくさんの男性を知っているわけではなかったが、人に聞かなくても明らかに彼の行為は自分勝手で満足させてくれるものではなかった。
そのことは野口との初めての時にはっきりと分かった。