慟哭の箱 12
「でしょ?」
「いてッ!」
今度は旭が、清瀬の背中を叩き返した。
「俺はあなたの心にも触れたんだ。ちゃんと知ってますよ」
「……そうか、そうだっけ」
なんだか急に心強いような気分になってきて、清瀬は旭に救われている自身に気づく。
楽しみだなあ、と旭がのんびり笑う。
「清瀬さんがぎゃーぎゃーわめくとこ早く見たいなあ。お化け屋敷楽しみですね」
「…おまえやっぱ真尋だろ」
交換日記の先の先。
そこに書かれた「彼」の言葉を清瀬が知るのは、まだ少し先のこと。
記された思いは、枯れることなく咲き続ける。
解き放たれた箱の外で、日の光を浴びながら。
生まれてよかった
ありがとう
END
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