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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「幸せの交換」 第一話

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「貴子さんは、美人だね。酔っているんじゃないよ。前からそう感じてた」

「そんなこと登志子に聞こえたら大変よ。お世辞言うならみんなの前で言ってよ」

「みんなの前で言いたくないから、こうして言えるチャンスをうかがっていた。解るかい?何が言いたいのか」

「わからないよ。きっと酔ってる・・・」

私と登志子は中学からの仲の良い友達だ。
その登志子の彼から甘い言葉を聞かされてもどうすることも出来ないし、聞きたくもないことだった。
さらに事態は混乱するようなことになる。それは登志子の彼が連れてきた男性が登志子のことを好きになったからだ。
女性と男性の思う相手が異なると言う状況にどうしたらよいのか解らなくなっていた。

登志子から連絡が来て、しばらくはみんなと会わないようにしたいと言われた。
私もそれには賛成した。冷却期間を置いた方がお互いのためだと思えたからだ。

短大を卒業して地元の大手電機会社に私は就職した。
登志子は父親の経営する配管工事会社に事務員として就職して、経営が苦しくなっていた事業の経費削減を背負わされた。毎日忙しく仕事をしていて、彼とも会えない日が続いていたのだろう。一年もしないうちに登志子から別れたと連絡が来た。
仕方のないことだと私は思ったので、またいい人見つけてねと返事した。