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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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CBRの女

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レーサーレプリカのフルカウルが覆うCBRの車体は、鋼管トラスフレームを採用した剛性の強いバイクだ。少々の荒い乗り回しでもバランスを程良く保つ。キャタライザー内蔵マフラーにより環境にも優しいとこが、ありさは気に入ってる。何よりスポーティなスタイリングが乗り手の気分をワクワクさせてくれるのだ。中古だったが十分満足していた。
バイクを乗り回す女性は男のようだと言われる。しかし、それは当たっている。
男と女の違いが絶対的にわかるわけじゃないが、普通の女の子が喜ぶものに同じように喜べない自分がいるのをありさは知っていた。小さい時からそうだった。お人形遊びなんて全然面白くなかった。むしろ男の子たちとジャングルジムで遊ぶほうが面白かった。
 大学を卒業して社会人になり、周りの友達はずいぶん結婚した。羨ましいと思ったことは一度もない。それよりバイクにまたがりロードを一人で走るほうが気分が良かった。海島ともツーリングで知り合って出来た仲だ。一人でいるのが苦にならない性格なのだ。だから結婚もしなくていいと思っていた。
しかし事情が変わった。
妊娠してしまったのだ。
恥ずかしいことに誰の子供かわからない。たぶん、あいつか、あいつ。
ちょうど考えられる時期に羽目をはずしてしまったのだ。
もともと生理不順だったから妊娠に気づくのが遅れてしまった。
病院検査でわかった時は3ヶ月を過ぎていた。
子供が生まれる・・・ってことは母親になるのだ。堕ろそうとは思わない。自分の分身なのだから。誰の子だろうと構わないと思ったのだが、生まれてくる子供には父親が必要だろうとありさは気が重くなるのを振り払って、なんとかしなくちゃと考えていた。


海島はありさのメールを受け取った後、2日後に返事をした。
「走ろうか。しかしロングライドにしようぜ。旅に行こう」
ありさからの返事はこうだった。
「行けない。ごめん。しばらく遠出は無理。近くならいいよ」
「じゃ いつもの海沿いで散歩するか。なんか話しがあんだろ?」
「じゃ、この間の埠頭で明日行く」
「17:00」
「OK」



作品名:CBRの女 作家名:海野ごはん