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司令官は名古屋嬢 第6話 『一部』

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 しかし、敵車両の接近があるため、この場での待機は危険だった。発見される前に、ここから離れなければならない。
「他の分隊の成功報告を待たず、ここから離脱する」
『了解』
八事たちは、安全な脱出経路を検討するため、周囲の状況を確認する。

「あそこにいたぞ!!!」

 ところが、徒歩でこっそり接近してきていた敵に発見されてしまった……。その敵兵は、屋内駐車場の八事たちがいる位置から反対側の出入口に立っていた。どうやら、天井のカーブミラーに姿が映ってしまったらしい……。
「チッ」
八事は舌打ちすると同時に、その敵兵の額を撃ち抜く。狙撃銃から飛び出した空薬莢が、コンクリート床を転がっていった。

「いてまえー!!! いてまえー!!!」

 敵兵たちが乗ったヒュンダイ・サンタフェが、屋内駐車場に走りこんでくる……。声が聞こえてしまったようだ。
 敵車両は八事たちのほうへ、猛スピードで走ってくる。後部座席にいた敵兵は、箱入り態勢になり、安っぽい拳銃を八事たちに向けた。
「散れ!」
その場から散り散りに離れる八事たち。敵兵が撃った拳銃弾が、そこに何発か命中する。車は通過していき、外の道路で停車する。狭い道路で素早くUターンするために、箱乗りの敵兵は車内に引っ込んだ。
 八事は、近くのミニバンの影に隠れる。そして、狙撃銃を車の背中に向ける。窓ガラスに濃いスモークを貼っており、車内が見えにくい。
 しかし、彼女の狙撃銃のスコープには、熱探知機能があるので、スモークは無意味だった。彼女が放った銃弾は、右後部座席にいた敵兵の後頭部に命中する。
「ウッ!」
 その前にいる運転手に貫通した銃弾が当たったらしく、車は動きを止める。
 もう片づくと八事たちは安堵しかけたが、車は急発進でバックし始めた……。最期の悪足掻きらしいが、一直線に八事のほうへ向かっていく……。ミニバンに衝突するだろうが、玉突きでやられる恐れがあった。
「チッ!」
今夜2度目の舌打ちの後、ミニバンから急いで離れる八事。

   ガシャーーーン!!!

 車はミニバンに勢いよく衝突した。周囲に散らばる粉々のガラス片。響き渡る金属音。