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司令官は名古屋嬢 第6話 『一部』

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第2章 無計画停電



【時間軸】…異次元暦42731年 真夏 深夜
【場所】…758号世界 大阪市内某所
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 公団のマンションなどが建ち並ぶ閑静な深夜の住宅街を、銃を持った数人が、音を立てず慎重に進んでいた。彼らは、闇夜に沈む黒い服装に身を包んでおり、暗視ゴーグルを装備している……。
『チャーリーからアルファへ。順調に進行中』
「了解。目的地に到着次第、待機」
『了解した』
彼らのリーダーらしき1人が、どこかと簡単な無線連絡を済ませた。その人物が、サビついた街灯の下をサッと走り抜けたとき、誰なのかを知ることができた。
 ……わざわざ言うまでも無いことかもしれないが、そのリーダーらしき人物とは、八事であった……。つまり、彼らの正体は、中京都軍の対ライフライン部隊というわけだ。彼らは何分隊かに分かれて、ここ大阪市内で任務を遂行しているというわけである。ちなみに、八事たちはアルファ分隊だ。
『こちらエコー分隊。目標の変電所に到着』
「了解。合図があるまで待機」

 彼らの任務とは、電力網の破壊であった……。ライフラインの破壊が主な任務である彼らがこれからすることは、変電所や鉄塔を破壊することだ……。
 現在、大阪市は民衆の暴動によって、CROSSの支配下から抜け出てしまっており、飛び火する前に早く取り戻す必要があった。近々、CROSSからの委託を受けた中京都軍が、大阪市の奪還作戦を始めるため、その前にライフラインを破壊して弱体化させておこうというわけだ。幸いなことに、今はクソ暑い真夏なので、停電させることには大きな効果を期待できる。
 なお、発電所への攻撃は、敵が大がかりな民兵集団を配置していることや、大阪市を奪還した後に再利用する予定であることから、破壊対象からは除外してある。複雑な電力網であることから、電力網の要所といえる変電所や鉄塔を破壊してしまえば、長期間に渡る停電を引き起こせるのだ……。

『目標地点の出入口に、民兵2人を発見。警備とみられる。どうぞ』
先導の兵士が、警備で立っている2人の敵兵を発見した。私服姿の2人の敵兵の背後には、高圧電線が架けられている鉄塔がそびえ立っていた。それが、八事たちの破壊目標であった。
「たった2人だから、片付けましょう」
鉄塔はフェンスで囲まれており、出入口のゲートも閉まっていた。しかし、その2人の敵兵さえ片付けてしまえば、簡単に向こう側へ行ける。
 八事は、サプレッサー付きの狙撃銃『Mk11』を構える。スコープは夜戦仕様で、片方の敵兵の頭に照準が合う。
「アタシは右で、アンタは左」
『了解』

 ……数秒後、ほぼ同時にその2人の敵兵は、地面にドサリと倒れた。小さなうめき声を漏らしただけで、後は沈黙だ。