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司令官は名古屋嬢 第6話 『一部』

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第5章 危険なもの



「いい? 絶対に殺しちゃダメよ!」
大須は、上社と八事に命令した。2人の足元には、ワイヤーで厳重に拘束した暗殺未遂犯の男が座っている。ワイヤーが伸びる先には、頑丈な柱があり、もう逃げられない。
 パンチャーという悪魔を駆除でき、男を再度拘束することができたのだ。後は引き渡しだけなのだが、大須はまだ頭がクラクラするらしく、大事を取って早退することにした。介抱のため、東山が彼女に付き添い、上社と八事が後を任されるのだ。応援で来てくれた兵士たちは、野次馬の整理に追われている。

「またコイツが、新手のモンスターを呼び出してもですか? キリがないですよ」
上社が不満を口にする。八事も黙ってうなずいてみせた。
「もうすぐ来てくれるらしいから、それまではガマンガマン!」
子供をしつけるような調子で、大須は2人に注意した。


「殺さなきゃいいんだ。殺さなきゃ」
「……まあ、そういうことよね」
大須と東山が去った後で、上社と八事は意味ありげに呟いた……。彼らの表情は、不気味そのものであった。
 上社は周囲を見渡してからすぐに、「良案」を思いついたらしく、八事とヒソヒソ話を始めた。暗殺未遂犯の男は、ろくでもないことが起きると察知したらしく、小刻みに震えている……。しかし、彼にはもはやどうしようもなかった。



「痛い!!! 痛い痛い!!! 止めて、痛い!!!」
男の悲鳴がモール中に響く……。
 男は拘束されたまま、下りエスカレーターで転がっていた……。しかも、下まで転がり落ちているのではなく、ワイヤーで位置を固定されているのだ。つまり、動くエスカレーターの上を引きずられている形である……。段差の鋭利な角が規則的に、男に痛みを加え続ける。
 言うまでもなく、上社と八事が、この男を下りエスカレーターへ案内したのだった……。
「このままだと死んじゃうかもしれないけど?」
「頭にヘルメットを被せてやってるし、死にはしないだろ死には」
優しいことに、男には自転車用の安全ヘルメットが被せられていた。それでも、それ以外の部位へのダメージは、さぞきついことだろう……。
「いいことを思いついた」
八事がそう言うと、上社が興味津々になる……。
「い、痛い!!! ううっ!!!」
男は激痛に苦しみつつ、さらなる不幸が訪れることを確信していた……。