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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 4.

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「必ずですよ。ここの温泉宿は一般の人には宿泊を提供して無いの。話すと長くなるけど、簡単に言うわね。
私の兄は米内光政(よないみつまさ)というの。今は海軍大将になっておられるけど、母親が違うから親しくは出来ない。旦那様が仲良くされておられるのでそのとりなしで、10年ほど前にこの温泉を前の持ち主から任されたの。日露戦争でご主人を亡くされて、奥様おひとりで切り盛りされていたのだけど、子供さんも満州に行かれたから実家に戻られて閉鎖されていたの。昭和に入って、兄がお金を出してくれて、私のことを不憫だからと言って、山本様にどこかで暮らせるようにしてやってほしいと頼んだのよ。まあ、愛人になれって言うことだったのよね」

「それは本当のお話しですか?」

「ええ、本当よ。でも旦那様に絶対に聞いちゃだめよ。解ってるわね?」

「それはあの幸恵さんという人が居るからですか?」

「違うの。旦那様は幸恵様とだけ仲良くされている訳じゃないから、そういうことじゃなくて、私が秘密の話をあなたにしているということが解るのがいけないの。この宿は旦那様や軍人の方の秘密の場所になっているの。解る?大人だから理解できるよね?」

「はい、でも女将さんは幸恵さんに嫉妬されないのですか?私なら許せないです」