ウソップ物語:黙っていたうさぎ
きつねの村長さんは、再び村の動物たちを集めて、隣村の村長さんと話し合ったことを伝えました。話を聞いた動物たちは、手を挙げて質問しました。
「『安全な場所』とはどういう意味ですか?」
小柄なねこさんが聞きました。
「人間が少なくて、鉄砲を持った人間はもっと少ない場所、ということです。鉄砲を持たない人間は、大したことはできません。特に、大きな動物に対しては、逃げるぐらいしかできないでしょう」
「西の森が、村長さんのいう『安全』な状態かどうかというのは、どうやって分かるのですか?」
少し神経質な性格のたぬきさんが聞きました。
「隣村の村長さんが、安全だと言っていました」
「その話、確かなんでしょうね?」
「もちろん、私たち自身でも調べます」
そう答えた村長さんは、会合に参加していたうさぎさんを呼びました。
「うさぎさん、君は西の森にすむ小鳥たちと知り合いだと言っていたね」
うさぎさんは、長い耳をピクピクと動かしながら、はい、と答えました。うさぎさんは、以前森に住んでいた頃、森の小鳥さんたちとよく遊んでいました。村に引っ越してからも、彼らとの友情はずっと続いていました。
「小鳥さんたちに、西の森にどのくらい人間がいるのか、そのうち何人が鉄砲を持っているか、できる限り話を聞いて、分かったことを私に教えてくれるかい?」
「分かりました。すぐに聞いてきます」
「頼むよ。君の話を聞いてから、派遣隊を作るかどうか、決めるからね」
うさぎさんは大急ぎで森へ走っていきました。
半日走って西の森に着いたうさぎさんは、小鳥さんたちを呼びました。
「小鳥さん、久しぶり。教えてほしいことがあるんだ。このあたりで人間を見かけることはある?」
色とりどりの小鳥さんたちが集まってきて、一斉に喋り始めました。
「あるよ。最近は多いね」
「木を切り倒したり、畑を作ったりしているよ」
「時々何人かで連れ立って森の中を探検しているみたい」
うさぎさんは、もう一つの質問をしました。
作品名:ウソップ物語:黙っていたうさぎ 作家名:弦巻 耀