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ウソップ物語:黙っていたうさぎ

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 早速、きつねの村長さんは、村の動物たちを集めて話し合いをしました。
「確かに、隣村が命がけで手に入れたものを私たちは食べるだけ、というのは良くないよね。うちの村も派遣隊に参加するべきじゃないかな」
 と、若いいたちさんが言いました。
「食べ物を探しに行って死んじまったら、何にもならん。村の中で食べ物をもっとたくさん作る方法を工夫すべきじゃないかね」
 と、年配のやぎさんが言いました。
「村の中で十分な食べ物を手に入れる方法があれば、それが一番だけど、工夫するといっても、急にはできないわ。明日食べるものはどうしたらいいの?」
 子だくさんのねずみさんのママが言いました。会合に参加していた他のみんなも、どうしたら一番いいかと一生懸命考えましたが、結論は出ませんでした。


 数日後、再び隣村のトラの村長さんがやってきました。
「我が村では、5日後に派遣隊を森に送ります。その時は、あなたの村からも何名か参加してもらいたいですな」
 きつねの村長さんは慌てました。
「待ってください。まだみんなで話し合っている途中なんです。いままで、こんなことは経験がないので、なかなか意見がまとまらないのです」
 トラの村長さんは、軽蔑的なまなざしできつねの村長さんを見据えて、言いました。
「食べ物が少なくなっているという状況で、ずいぶんのんびりとしたことですな。あなたの村からだれも派遣隊に参加しないというなら、今後、あなたの村に食べ物をお売りすることはできません。それで、よろしいですな」
 トラの村長さんの恫喝的な物言いに、きつねの村長さんは、困ってしまいました。
「急に言われても、本当に無理ですよ。うちの村の者たちは、今まで森に入ったこともなければ、人間と出会ったこともないのですよ」
 ふうむ、と首を傾げたトラの村長さんは、しばらくして、いいことを思いつきました。
「なら、森の中でも、より安全な場所で食べ物を探してもらう、ということでどうですか?西の森なら、人間は少ないと聞いています。鉄砲を持った人間は、さらに少ないようです。そういう場所なら問題ないでしょう?二つの派遣隊でそれぞれ集めたものを合わせて、平等に再分配する。これでどうですか」
「なるほど、それなら村のみんなも納得できる」
 隣村のトラの村長さんときつねの村長さんは、固い握手を交わしました。