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熾(おき)
熾(おき)
novelistID. 55931
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月のあなた 上(2/5)

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 日向はちらりと隣の席に座っている蜜柑を見た。
 すると蜜柑も、自分の方を見ていたことが分かった。

 目が合った二人は、お互いに何となく微笑んだ。
 それでまた何となく照れくさくなって、二人ともタブレットに目を落とす。
 よし、と日向は思った。
 うん、と蜜柑は決めた。

「次は男子のクラス委員を決める。立候補者は――」
 顔を上げた吉田が声を切って初めて、クラスはその手が挙がっていたのに気付いた。
 それくらい、音の無い自然な動作だった。
「水凪か。理由は?」
「いつもやっていて…落ち着くので」
 なるほどそうですよね、と皆が思った。