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The SevenDays-War(黒)

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「とぼけても無駄だ! 大人しく縛につけ!」

 若い騎士は剣を抜こうと腰に手を回す。
 ルドラは即座に右腕を伸ばして剣の柄を押さえ、騎士の抜剣を阻止した。
「やめておけ。剣を抜かれれば手加減はできん。無駄に命を散らすものではない」
 ルドラの言葉は、若い騎士の命を惜しんで発せられたものではない。『弱者をいたぶる趣味は持ち合わせていない』だけだ。
 渇くのだ。
 弱者と剣を交える度に、戦いを望む身体と心が軋みを上げる。まだ足りぬ、物足りぬと狂い叫ぶ。血沸き肉躍る生命のやりとり、剣を媒介とした魂のぶつかり合い。それらを求めて暴れまわる。
 剣技に秀でた者でも良い。輝く魂を持つ者でも良い。
 そのどちらも持たぬ者が、“弱者”だ。

「なんだと!」
 若い騎士はもがいたが、掴まれた右手と剣とを取り戻すことはできなかった。
「留まれと言うのならば、一晩厄介になろう。明朝にでも門の外に出してくれるのならば、それでいい」

 ルドラは離れてゆく魔界の波動に惜別の視線を飛ばすのだった
作品名:The SevenDays-War(黒) 作家名:村崎右近